2010年2月23日火曜日

アフガニスタン カブールの現況2010年2月)




 アフガニスタンのカブールに来て4日目だ。外務省が強く退避勧告を出しているが、体感治安はスリランカやイスラエル、ミンダナオとさほど変わらない。むしろケニアのナイロビがもっとも危険だったような気がする。もっとも今度はガイド兼運転手兼ボディーガードを雇っているからかもしれない。 さてカブールの町の様相は、三年前に比べると、いくつかの点で違いが見られる。 第一は、車の、台数が増えたこと。渋滞がますます激しくなった。理由の一つは、援助インフレがおきて、それなりに経済が活況を呈していること。そのために物流が盛んになり交通量が増えた。物価は発展途上の紛争国相であることを考えると、結構高い。貧富の格差がだんだん大きくなっているようだ。子供や婦人たちの物乞いが結構多い。しかし、フィリピンのミンダナオのような悲惨さは感じない。援助インフレはパレスチナ西岸でも見られた。バブルのような活況と貧困の同居である。 第二の理由は、政府中枢や大使館街に通ずる道路が至るところで封鎖されているために、交通渋滞を招いている。特に米国大使館や英国大使館などがある地域はバグダッドのように地域一帯が封鎖されている。自爆テロやロケット弾攻撃を防ぐためだ。私のいる地区も道路封鎖はしていないものの、辻、辻に武装した警備員が立ってにらみをきかせている。 カブールでも相も変わらず日本の中古車が幅をきかせている。車体に日本語が書かれたままの車が数多く走っている。アフリカでもスリランカでもフィリピンでも見られた現象だ。日本語が車体に描いてあると高く売れるのだろうか、中には日本語ににせた文字が描かれた車を見かけた。ちなみに圧倒的な人気車はカローラだ。日本の大衆車がここでは人々のあこがれの的だ。 またカブールでもUNの車は新車ばかりのような印象で、しかもトヨタのランドクルザーがほとんどだ。世界中の紛争地でUNが使用する車はトヨタのランクルのような印象を受ける。さまざまな利権が絡んでいるとのうわさも聞く。トヨタが米国で狙い撃ちにされている一つの理由は、トヨタのランクル利権も絡んでいるのではないかと邪推したくなる。   第二の違いは、政府の統治がそれなりに進んだような印象だ。政府の規制が厳しく酒が手に入らない。一昨日、昨日とビールを探し回った。結局、ノンアルコール・ビールはあったが、普通のビールはなかった。三年前はこうではなかった。決して堂々と店先においてあったわけではないが、ビールあります、といわんばかりに店先の隅っこにはビールのカートンが置いてあった。しかし、今はまるで麻薬の取引のようなありさまだ。こっそりと店員に話を持ちかけると、おもむろに1カートン6000円近い値段を吹っかけてくる。税金を考えると、大変な値段だ。その上、秘密でもビールや酒を扱っている店は少ない。 また規制の強化とは裏腹に、テレビは自由化が進んだようだ。タリバン時代はテレビは許されなかったが、今は22チャンネルもあるという。ネットも中国のように検閲はないようだ。政府の管理の下で、報道の自由は進んでいるようだ。 当地に長く暮らしている日本人に聞くと、昨年末以来、明らかに治安が悪くなっているという。確かに宿も2重の鉄扉で、小窓から中の警備員に扉を開けてくれるよう頼んではじめて、電動ロックを解錠してくれる。扉の外には自動小銃を構えた警備員が24時間常駐している。イスラエルやフィリピンのサンボアンガのホテルと同じだ。ただし、鉄扉はカブールが初めてだ。 カブールは紛争の中の平和という状況だ。 

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