2010年2月24日水曜日

アフガン情勢

アフガン人とのインタビューのあらましを忘れないうちに記しておく。 アフガンには三つの反政府勢力がいる。第一がタリバン。第二が軍閥のヘクマティヤル。第三がアルカイダ。彼らの目的はそれぞれに異なる。タリバンはアフガニスタンから外国勢力を一掃し、独立を達成すること。ヘクマティヤルは現政権を倒して権力を奪取すること。アルカイダは米国ひいては反イスラム教国を打倒することだ。究極の目的は異なるものの共通の目的は反米だ。この場合の反米とはNATO諸国や親米諸国も含め米国と協力して戦っているすべての国に反対することを言う。だから韓国も彼らの標的だ。この共通の目的を達成するために、情報の交換や共同訓練を実施している。 アフガン紛争の解決には交渉しかない。いくら武力でタリバンをねじ伏せようとしても、それは一カ月や二カ月程度の短期的な解決にしかならない。交渉の相手は穏健派のタリバンではない。タリバンには穏健派も急進派もない。タリバンはタリバンだ。カルザイ政権は誠実に無条件でタリバンとの交渉をすべきだ。オバマ政権がおこなっている、一方で軍事力を用いて急進派を抑え込み、一方で穏健派と交渉しようというのは水と油のように矛盾しており、根本的に誤りだ。 PRTは結局軍事力の行使にしか過ぎない。地元の人にとって、米軍の対テロの「不朽の作戦」とPRTの治安維持活動にはともに軍事力を行使するという意味でまったく差はない。米軍もISAFもまったく区別はない。みんな同じ米軍だ。 日本は自衛隊をおくるべきではない。制服を着ている者は皆同じ米軍の仲間とみなされる。日本がインド洋での給油活動を打ち切ったことは一般の人は知らないにしても政府や関心を持っている者はよく知っている。非武装の貢献が最適だ。 50億ドルの支援については、金の配り方が問題だ。これまでのように政府に渡せば、大半が賄賂となって政府高官や地方の有力者の私腹を肥やすことになる。本当に必要な人にわたる方法を考えるべきだ。だから金そのもの政府に渡すのではなく、たとえば工場を作ってそこで人々が働けるようにしたほうが効果的だ。仕事があれば長期にわたって人々は金を受け取ることができる。そのために日本人技術者が必要だが、彼らの安全は地元の人々との協力の中で確保すべきだ。アフガン人は非武装の人を襲うというようなことはしない。 確かにペシャワル会の伊藤さんが一部の武装勢力に殺害された。しかし、それまでペシャワル会は全く犠牲者を出していない。そのことの意味を考えるべきだ。犯罪者の取り締まりは必要だ。そのためには警察や軍の腐敗を直さなければならない。 インタビューの概略は以上である。結論は、自衛隊の派遣はいかなる目的であれ、地元には歓迎されそうにもない。誤解を招くだけだ。 

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