2009年5月28日木曜日

検疫制度は即刻廃止せよ

 今日午後のテレビニュースで、下記のような報道があった。以下引用はYOMIURI ONLINE「木村氏は、政府の当初対策が機内検疫による「水際対策」に偏りすぎたとし、『マスクをつけて検疫官が飛び回っている姿は国民にパフォーマンス的な共感を呼ぶ。そういうことに利用されたのではないかと疑っている』と述べた。さらに、『厚労省の医系技官の中で、十分な議論や情報収集がされないまま検疫偏重になったと思う』と強調した」。
 このニュースを知り、まず驚き、そしてあきれ、最後に納得した。国会でここまではっきりと政府の対策を現役の検疫官が否定したことに驚き、そしてそんなに効果がないと思うのなら多少は手抜きをすればよかったではないかとあきれ、そして国内感染の拡大を見てやっぱり検疫では防げないと納得した。
 今回の豚インフルエンザでの結論である。意味のない検疫制度は即刻廃止し、検疫所は閉鎖し検疫官も配置転換すべきである。
 実は、私は4月29日のNW19便で米国ミネアポリスから帰国し、機内検疫では最長の3時間も機内に閉じ込められたのである。その時は我慢していたが、いまさらあれは無駄で、単なるパフォーマンスであったなどといわれては、あの苦痛は何だったのかと怒りを通り越して笑うしかない。
 たまたま私の隣の米国人の若い女性が花粉症のアレルギーで鼻水が出ると質問書に記載したために大騒ぎになった。私も含め、彼女の周りにいた、ボーイング747の最後尾付近の乗客30~40人が赤いシールを肩に貼られ、外に出られないように、制服、私服の数人の警察官に取り囲まれた。検疫官が彼女に片言の英語で質問するのだが、なかなか通じない。彼女は繰り返しアレルギーというのだが、アレルギーが検疫官には聞き取れない。たまらず「アレルギーだそうですよ」と私が伝えた。後はなぜか私に通訳を頼むかのように彼女に日本語で話しかけた。鼻水が出るか、咳は出るか、熱はあるかと簡単な質問をした。それで終わるのかと思ったら、彼女は簡易検査に連れて行かれた。それまでに既に2時間以上時間をとられ、乗り継ぎ便は皆出発し、外国人乗客の多くが途方にくれていた。検疫官ももう少し英語ができるかと思っていたら、中学生レベルといっても良いくらいひどかった。問診できる程度の英語力があれば、無駄な簡易検査などしなくてすんだだろうに。ましてや検疫官自身が検疫が無駄だとわかっていたのなら、それこそパフォーマンスだけにして簡易検査など止めて欲しかった。
 検査の結果米国人は陰性とわかり、3時間ぶりに解放された。陽性だったらわれわれは1週間の停留のところだった。実際停留措置を受けた人は、単なるパフォーマンスのために大変な苦痛を強いられたのだ。
 そもそも検疫など必要なのだろうか。水際検疫はたとえトリインフルエンザでも役に立たないというではないか。水際検疫など止めて、国内の検疫体制を強化してはどうか。実際今回の機内検疫の体験でも検疫官の語学のおそまつさには驚いた。国会で証言した検疫官が水際検疫は役に立たないといったことは全くその通りだ。またいつも不思議におもっていたのだか、普段でも検疫というのは役にたっているのだろうか。そもそも多くの人が検疫が嫉視されていることを知っているのだろうか。入国審査の前に検疫諸があるが、係官がいた試しはない。アフリカから帰国した時だけ係官がいて問診票を回収していた。今回もそれで十分ではなかったのか。搭乗客の追跡調査など、航空会社の乗客リストで容易にわかるはずだ。国内検疫なら乗客の住所さえわかれば十分であろう。ならば空港での検疫など全く不要である。
 現職の検疫官が水際検疫を不要といっている以上、舛添厚生労働大臣は即刻検疫制度などやめて、検疫所を廃止し、検疫官を動物検疫や植物検疫に配置転換してはどうか。

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