2009年5月4日月曜日

海自ソマリア派遣

 海上自衛隊がソマリア海域に派遣される。私は反対の立場をとる。その理由は二つ。
 第1は、憲法違反である。法律上の細かな解釈により憲法違反にはならないとの議論もある。しかし、何度も繰り返すが、憲法の条文は義務教育を終えた国民が理解できる内容が憲法の正しい理解である。その点から考えれば、自衛隊はそもそも憲法違反である。百歩譲って自衛のための戦力として自衛隊を認めたとしても、行動範囲は日本の領海に限定されるべきである。もし自衛隊を海外に派遣するなら、前提として憲法の改正は必須である。憲法も改正しないまま自衛隊の行動範囲を広げることは、実質的に憲法が無きに等しい状況をつくりだすことに他ならない。
 第2は、自衛隊の能力である。海上自衛隊は海賊のような武装集団を鎮圧する専門の部隊もなければ、訓練も戦術も交戦規定もない。たしかに10年前から特殊部隊を創設して海上ゲリラ戦への備えはしてきている。しかし、想定している敵は敵国の特殊部隊もしくはテロ組織である。金目当ての海賊とは異なる。現在の海上自衛隊の能力では適切な対応が難しい。過剰反応すれば、国際世論の批判を浴びる可能性がある。また過少反応すれば、自衛隊に犠牲者が出る。
 今回の派遣は、昔から議論されたシーレーン防衛の実践だ。冷戦時代はソ連から、対テロ戦争時代はテロ組織から、そして今や海賊から日本のシーレーンを防衛せよ、との主張だ。今回は国連決議もある。中国軍も韓国軍も派遣している。しかし、「遅れてならじ」とまなじり決して押っ取り刀であわてて派遣しても成果は期待できない。
 派遣を考えるなら、ここは王道を歩んで、まずは憲法改正の議論を喚起すべきであろう。その間、たとえ日本船が乗っ取られ、犠牲者が出たとしても、憲法9条を墨守する日本国民は、それを「平和の代償」として甘受すべきである。

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