2011年5月7日土曜日

小著書評

 ネット・サーフィンをしていたら、宮崎哲弥『新書365冊』(朝日新書)を書評した松岡正剛の「千夜千冊-遊蕩編」(1216夜)にたまたま出くわした。その最後に、宮崎哲弥が取り上げた新書の中から、特に松岡が推薦したい本10冊が挙げられていた。その中に小著『現代戦争論』および『テロ-現代暴力』の2冊が推薦されていた。ちなみに、2冊推薦されているのは私だけであった。宮崎の本にも2冊が推薦されているとは知らなかった。宮崎と松岡の二人の読み巧者に2冊とも推薦されたことに本当に感激している。
 実は、数年前に松岡氏にはある研究会の打ち上げで直接会ったことがある。そこで、『現代戦争論』と『テロ-現代暴力論』の著者だと自己紹介した。「ああ、そうですか。その本はよく知っています」と言われた。その時には単なる世辞だと思っていた。書評のプロといえどもなにしろ何千冊もの本を読破している人である。読んだ本はよほどのことが無い限りほとんど記憶の彼方に消えてしまう私からすれば、松岡氏も記憶などないだろうと思いこんでいた。しかし、何千冊もの新書の中から2冊(ちなみに私が書いた新書の全て)も推薦してくれていることを考えると、やはり世辞ではなく記憶にあったのだと思い、素直に感謝している。
 読書のプロに評価されることと、本が売れることとは全く違うようだ。二版で計約2万3000冊で『現代戦争論』は絶版となった。『テロ-現代暴力論』も初版18000冊が出たきりで、増版にはならない。売れないからあまり評価されていないのかと思っていた。しかし、思いがけずに二人のプロに評価されていたことを知り、自分の研究が正しかったことを確認でき、本当に元気をもらった。これからも時流、学界、社会などに阿ねることなく自らの信ずる道を貫いていく覚悟ができた。自画自賛で汗顔の至り、還暦に免じて何卒ご容赦。

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