2012年7月31日火曜日
「新日本国憲法ゲンロン草案」を支持する
東浩紀の「新日本国憲法ゲンロン草案」が話題になっている。さっそく安全保障に関わる箇所を読んでみた。第一八条で国家の武装を禁止した上で、第一九条で個人の武装権を認め、そして第二〇条で自衛隊の創設を提案している。この「自衛隊」はカントの「民兵」や中江兆民の「土著(ちゃく)兵」と全く同じである。非常に画期的な草案であり、この条文については全面的に支持する。
第一八条
国民および住民は、国際紛争を解決する手段としては、武力による威嚇または武力の行使は、永久にこれを放棄する。国の交戦権は、これを認めない。
第一九条
1. 国民および住民は、生命、自由ならびに財産の保全を脅かす自然災害と人的災害に対して、国民および住民それぞれの能力に応じ、自衛ならびに相互援助する権利を有する。
第二〇条
1. 国民および住民は、前条の目的を達するため、自衛隊を設立する。
2. 自衛隊は、国際相互援助の精神に則り、法律の制限および諸国民の同意のもとで、国外においても活動しうる
ひょっとして東はこのような解釈を想定していなかったかもしれない。しかし、憲法をいかに解釈するかは国民の権利である。第一八条で国家の自衛を否定する以上、「個人をまもらないという契約は無効である」というホッブズの社会契約論に従えば、自衛権は個人に返還される。安全保障の観点からすれば、東の構想する国家は支配者なきマルチチュードによる国家創造である。
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