2012年5月3日木曜日

チアダンス優勝に見る日米文化の融合

大学で顧問をしているソングリーディング部クリームが、4月28、29日の両日フロリダ州オーランドにあるディズニー・ワールドのエプコット・センターで開催されたIASF(International All Star Federation)&USASF(United States All Star Federation) 主催のチアダンス世界大会のオープン・ジャズ部門で世界チャンピオンになった。これまで2008年、2009年、2010年(2011年は大震災の影響で出場を断念)と3回続けて2位と、シルバー・コレクターだった。しかし、四度目の正直で、ついに今年、永年の宿敵カリフォルニアのダンス・カンパニー「ペース・エリート」を打ち破り念願の優勝を果たした。この大会の前にやはりディズニー・ワールドのスポーツ・センターで開催されたICU(International Cheer Union) 主催の2012年World Cheerleading Championshipsではペース・エリートに僅差で破れ、2位に甘んじた。その悔しさをバネにシルバー・コレクターの名を跳ね返すべく、21人の学生が頑張った結果、初の優勝を獲得できた。 両大会について簡単に触れておく。前者のIASF&USASF主催のチアダンス世界大会は、世界中から集まったダンス・チームが部門別にその技を競う大会である。中心はやはりチアダンスが普及している米国、メキシコ、カナダ等北米、南米のダンス・チームが中心である。他方、ICU主催の大会は各国から部門毎に選抜されたダンス・チームが参加する大会である。日本からは桜美林がOpen Jazz部門、ダンス・チームPLANETSがOpen Pomに、ダンス・チームDSF BrilliantsがOpen Coed Hip Hop等に参加した。参加国は世界数十ヶ国に及ぶ。しかし、各国のダンスのレベルにはかなりの差がある。オリンピックと同じで、参加することに意義があるとしか思えない国のチームもあった。実質的には、前者の大会が事実上の世界チャンピオンを決める大会となる。 両大会を通じて日本チームはめざましい活躍を果たした。とりわけ事実上の世界チャンピオンを決めるチアダンス世界大会の結果は、Open Jazzで 桜美林のCreamが優勝した他に、Senior PomでGolden Hawks、Open Hip Pop でGolden Hawks、Open Coed Hip Popで DSF Brilliantsとなんと8部門のうち4部門で日本が1位を獲得、Open Pomで Planets Dance Companyが2位となるなど米国に次ぐ成績を挙げた。外国勢で一位をとった国は日本以外になく、メキシコ、イギリスが一部門ずつ3位に入ったにすぎない。あとは全て多数のチームが参加した米国がメダルを獲得した。逆に、多数の米国チームを破った日本のダンスのレベルがいかに高いかの証明でもある。両大会には中国のチームも多数参加したが、素人目にもまだまだの感がある。ジャズやヒップ・ホッブのダンス文化がまだ根付いていない。ただし、その技量は年々あがっている。 ダンスにも日米の国民性の違いが出るものだ。一言で言えば日本は和、米国は個が特徴だ。全体の統一性、同調性は日本が上回っている。全員が一糸乱れず、頭から爪先まで緊張感にあふれた踊りをする。他方、個々人の技量では米国が上回っている。回転する時に軸足がほとんどぶれない。体力もあり、一人一人の踊りが非常にエネルギッシュだ。また体格的にも最近は日本も見劣りしない。昔は胴長短脚でダンスにはあまり向かないと思われていた日本人だが、最近は手足の長い外国人体系の女子も多くなってきている。むしろアメリカ人に手足は長い太り気味のダンサーが多く目につくようになり、日本人の方が見栄えがよくなっている。もっとも太ったダンサーのヒップ・ホップは、それそはそれで迫力があり面白い。 ダンスの世界での日米の実力の伯仲は、ある意味ディズニー・ランドやセブン・イレブンに似ている。両方とも米国発の文化や会社ではあるが、日本に導入されて、むしろ本家をしのぐ、あるいは本家とは違った文化や会社としてグローバルな文化や会社となっている。もともとディズニーやセブン・イレブンは日本にアメリカン・スタンダードをおしつけようとした。しかし、結局日本はアメリカン・スタンダードを換骨奪胎し、むしろより普遍的なグローバル・スタンダードを確立し、日本文化でも米国文化でもないあらたな世界文化や会社を構築していったように思える。小難しく言えば、日米文化の対立が止揚されて新たな世界文化を生み出している。今回のダンスの結果も日本、米国の文化を超えた新たなダンスの文化を生み出す契機となるだろう。アメリカン・スタンダードが世界標準ではないことを、桜美林大学のクリームだけではなく日本のダンスチームが今回のダンス世界大会で見事に示してくれた。

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