民主党の二酸化炭素削減政策に風当たりが強い。たしかに今の技術では25パーセント削減はきわめて困難であろう。しかし、なんらかの技術突破があれば、25パーセントは夢ではないかもしれない。
実は、自民党政権下で同様の技術突破を前提にした政策目標が掲げられていることを多くの人は見落としている。とりわけ民主党のCO2削減に反対している人々は、無視している。それはMDだ。MDもまた、環境技術同様に、今の技術系では達成不可能なミサイル弾頭の迎撃という目標を掲げている。 たしかに条件を事前に設定した実験では成功している。しかし、実戦では今のMD技術水準では全く役に立たない。相手側がMDより安価で容易な欺瞞技術を開発すれば、簡単にMD網を突破することができる。
二酸化炭素削減懐疑派の多くは保守派、自民党支持派で、したがってMD容認派も多い。しかし、どちらの技術も、何らかの技術突破がなければ、実現は不可能である。環境政策に反対しながら防衛政策には賛成するというのは単に地球環境よりも一国防衛が重要であるとの価値判断に過ぎない。技術的な視点からいえば、くりかえしになるが、どちらも同じ未完成技術を元にした議論だ。私自身は、いずれの政策にも賛成である。それはいずれの技術も完成(完成はないが)に向けた技術開発がなんらかの技術突破や技術革新をもたらすと信ずるからである。
二酸化炭素削減は環境安全保障、ミサイル防衛は国際安全保障と,両者とも同じ安全保障問題である。同時に国際政治の喫緊の政治課題である。軍事安全保障のミサイル防衛で日本がイニシアチブをとることは不可能である。だからこそ非軍事安全保障の環境分野で日本がイニシアチブをとることには大いに意義がある。
1971年に日本のホンダは、当時は技術的に不可能とまでいわれるほど厳格な米国の排ガス規制マスキー法をいちはやくクリアし、米国進出の足掛かりをつくったことがある。ホンダに続いて日本車が次々とマスキー法をクリアして米国に進出し、環境技術で出遅れたアメリカの自動車会社を打倒していった。二酸化炭素削減も、新たな技術革新が生まれれば、日本の未来は明るい。
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