浅井基文氏(もと外交官)のブログに「日朝関係の現状と課題:天動説的国際観と他者感覚の欠如」http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2010/index.htmlと題する論文が掲載されていた。その中の以下の一文が気になって、浅井先生あてに次のようなコメントを書いた。
「私たちが考えなければならないのは、朝鮮(中国)という他者自身の立場に自らをおいて、朝鮮(中国)から見た世界はどう映っているかについてできる限り想 像力を働かせることである。アメリカ及びアメリカに全土を基地として提供して全面協力する日本、そして朝鮮の場合にはさらに韓国も加わって襲いかかろうとしている。それが実態なのだ」。
この主張を100%受け入れたとして、だからといって北朝鮮の核武装化や中国の軍拡を正当化することにはならないのではないでしょうか。浅井先生の論理によれば、米国や日本や韓国が天動説的国際観に基づいて北朝鮮や中国を軍事恫喝しているから、北朝鮮の核開発も中国の軍拡もしかたのないことなのでしょうか。
もし浅井先生が親北、親中派でないのなら、もし浅井先生が本当の平和主義の愛国者なら、米国や日本政府に軍備縮小を呼びかける一方、北の核開発にも中国の軍拡にも同等に反対を呼びかけるべきでしょう。すでに呼びかけているのであれれば、ご容赦ください。ただし、よびかけをされたということあれば、それにもかかわらず北は核兵器を開発し、中国は軍拡を続けている状況についてどのようにお考えでしょうか。
北の核開発を阻止できなかったことは、反米平和主義者にとっても日米同盟支持派にとっても敗北です。とりわけ日米同盟支持派にとって衝撃だったのは、韓国の哨戒艦が北朝鮮によって撃沈されたにも関わらず、また米国がテロ行為ではなく、北による戦闘行為だと認めたにも関わらず米韓安全保障条約が発動しなかったことです。北や中国が日本を攻撃したとしても日米安全保障条約が発動しない危険性があることを今回の哨戒艦撃沈事件は証明しました。北や中国は今回の事件を教訓に、さほどのリスクをとらずに日本に対する軍事的圧力をかけることができると考えているかもしれません。
この意味であれば、日本が対米盲従をやめるべきだという先生の主張には共感いたします。ではどのように対米盲従をやめるのでしょうか。対米戦(心理戦、経済戦等です)を覚悟して日本はどのように米国からの独立を果たすことができるでしょうか。浅学非才なる小生にはなかなか思いつきません。これまでも右、左を問わず多くの識者、論者が日米同盟破棄、対米独立などを主張してきました。しかし、どの主張をとっても、具体的な政策として語られたものはありません。先生には是非、具体的な対米独立の方法、手順についてご教示願えればと思います。スローガンを掲げる時はすでにすぎていると思います。残されているのは、行動のみです。とりわけ北朝鮮、 中国に対する反核、軍縮の呼びかけです。
妄言多謝 加藤
(追伸)
日本における平和主義者のほとんどが反米主義者であって、仮に反核を主張していたとしても反米という立場から北朝鮮やイランの核開発には賛成、あるいは容認する人が多いようです。かつて日本共産党が米国の核兵器には反対しソ連の核兵器開発には賛成していたことを思い起こさせます。要するに反米派は親米派と合わせ鏡であって、左右が逆転しているだけで思想、論理は同じ現実主義、戦略論に依拠しているようです。決して非暴力主義、非武装主義、反核主義ではないのではないでしょうか。浅井先生の立ち位置は単なる反米主義者なのか、それとも非暴力平和主義、反核主義者なのか、いずれでしょうか。
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