マイケル・ジャクソンが急死してあちこちのテレビ番組で追悼番組が放送されている。私自身はマイケル・ジャクソンを聴く機会はあまりなかった。彼の想い出といえば、まだジャクソン・ファイブ時代に兄弟と一緒に歌っていた幼いマイケルだ。NHKの番組だったような気がするが、歌がうまいので非常に印象に残っている。次に彼の想い出といえば1985年のSave Africa Campaignのテーマ曲「We are the world」を当時の一流のアーティストと一緒に歌っていた姿だ。レコーディング・スタジオでダイアナ・ロスと一緒に手をつなぎながら歌っていたシーンが今となっては印象的だ。
「We are the World」を聞いたのは、1985年の春か、夏かいつの頃だったか今となってははっきり覚えていない。ただ場所はよく覚えている。新宿三丁目の丸井の前を通りかかった時に突然、どこかの店から聞こえてきた。思わず足を止めて聞き入ってしまった。その年の秋、アメリカに留学した。アメリカでも何度も聞いた覚えがある。エチオビアの飢餓を救えというキャンペーンがフタンフォードのキャンパスでも繰り広げられていた。全米でアフリカを救えというキャンペーンが展開されていた。
あらためてビデオを見ると、本当に懐かしい顔が勢ぞろいしている。ネットで調べると次の順番で出演している。
ライオネル・リッチー → スティーヴィー・ワンダー → ポール・サイモン → ケニー・ロジャース → ジェームス・イングラム → ティナ・ターナー → ビリー・ジョエル → マイケル・ジャクソン → ダイアナ・ロス → ディオンヌ・ワーウィック → ウィリー・ネルソン → アル・ジャロウ → ブルース・スプリリングスティーン → ケニー・ロギンズ → スティーヴ・ペリー → ダリル・ホール → マイケル・ジャクソン → ヒューイ・ルイス → シンディ・ローパー → キム・カーンズ → ボブ・ディラン → レイ・チャールズ → スティーヴィー・ワンダー&ブルース・スプリングスティーン → ジェームス・イングラム
このうちの半分の歌手は、普段あまりアメリカの音楽を聞かない私でも知っている。特にダイアナ・ロスには強い想い出がある。彼女がまだシュプリームズで歌っていた1972年だったと思うが、アルバイトをしていた「ニューラテン・クウォーター」でジュープリームズのショーがあった。舞台の袖で彼女の歌を聞いたときには、本当に仰天した。歌がうまいとか、声がいいとかといったことを遥かに超越して、ただ、ただ感動だけが残った。今でも彼女の後ろ姿ははっきりと覚えている。
「We are the World」はマイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーの共作になっているが、実質的には8割をマイケルが作ったらしい。そう思って歌詞を読むと、マイケルらしいフレーズが出で来る。サビの「We are the World, We are the Children」はデイズニーランドの It's a small world やマイケルが造ったNever Landの世界をイメージしているのではないだろうか。
Save Africa Campaignも「We are the World」もある意味で偽善めいた行為かもしれない。当時も、そうした批判は聞かれた。しかし、今あらためて「We are the World」を聴いてみると、四半世紀の時を越えて、すなおに感動を覚える。偽善でもいい。たしかに
「We are the World」は世界中の多くの人々に感動を与え、そして人々の眼をアフリカに向けさせることに貢献した。
たしかにアメリカという国はベトナム戦争、イラク戦争など多くの人々を戦火に巻き込むような悪いこともした。しかし、その反面、Save Africa Campaignのように良いことも数限りなくしている。それだけダイナミズムにあふれる国家なのだ。だからこそ中東や中南米そして世界中の反米の人々でさえも、亡命先のいの一番にあげるのがアメリカなのだ。
翻って我が日本はどうだろう。悪いこともしなかった代わりに、良いこともほとんどしていない。コクーン(繭玉)の中で永遠に幼虫のまま蠢いているだけだ。
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