2014年8月7日木曜日
韓米への手本となるよう日本は慰安婦に謝罪を
朝日新聞が慰安婦問題について、「強制連行」に関する吉田清治氏の証言がすべて虚偽であると判断して、「少なくとも16本」(『産経新聞』2014年8月7日)の記事を取り消した。具体的にどの記事が取り消されたのかはわからない。1本や2本ではない。「少なくとも16本」をまとめて取り消したのである。まさに前代未聞の事件であり、報道機関としては致命傷だ。また朝日新聞だけではない。朝日新聞の記事を真実として引用したコメント、論文、書籍、国連の勧告書を含めすべてが信用性を失ってしまう。朝日新聞の責任は極めて重大と言わざるを得ない。
現在国際社会では慰安婦問題についてはは強制連行があったかどうかが問題になっているわけでない。本ブログ2013年7月8日「慰安婦問題は歴史問題ではない」で詳細に論じたように、慰安婦に「居住の自由、外出の自由、廃業の自由、接客拒否の自由」が無かったから「性奴隷」の状態にあったということ、さらに公娼制度も含め慰安婦制度は事実上の人身売買に基づく制度だということである。奴隷労働と人身売買の二点で人権問題とりわけ女性の人権問題として従軍慰安婦は問題視されているのである。
朝日新聞も「慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質」と記している。全くその通りである。また「90年代、ボスニア紛争での民兵による強姦事件に国際社会の注目が集まりました。戦時下での女性に対する性暴力をどう考えるかということは、今では女性の人権問題という文脈でとらえられています」。何ら反論はない。ならば慰安婦問題は日本軍による「強制連行」という、日本固有の問題ではなく、女性の人権という普遍的な問題であり、さらには女性に限らず広く人権の問題として初めから議論すればよかったではないのか。今更ながらの論点のすり替えである。
「戦時下での女性に対する性暴力をどう考えるかということは、今では女性の人権問題という文脈でとらえられています」というのであれば、ボスニア紛争を持ち出すまでもない。朝鮮戦争やベトナム戦争における韓国や米国も同じ問題を抱えている。
2014年6月、朝鮮戦争当時駐留米軍を相手に売春街「基地村」で働かされた元米軍慰安婦が韓国政府を相手取って、管理売春制度をつくり過酷な労働に従事させたとして賠償訴訟を起こした。まさに日本に対して従軍慰安婦が賠償請求しているのとまったく同じ理由すなわち「性奴隷」であり「人身売買」であり、「戦時下での女性に対する性暴力」であり「女性の人権問題」である。強制連行の有無の問題などではない。米軍慰安婦問題については朴槿恵(パク・クネ)政権だけではない。米国政府もその責任から免れることはできない。またベトナム戦争でも「女性に対する性暴力」をふるい「女性の人権」を犯した韓国軍や米軍は日本以上に責任と謝罪を行わなければならない。
朝日新聞が強制連行を誤報と認めた以上、遅きに失したが日本軍や日本に対するいわれなき中傷や非難は雪がれたと信じ、日本政府は「女性の人権」という視点から慰安婦に謝罪して、韓国政府やオバマ政権に米軍慰安婦に謝罪させる手本となるべきである。米国内で従軍慰安婦問題で日本政府を非難している韓国系アメリカ人も含め女性の人権擁護活動に努めているアメリカ人そして何よりも国連の人権理事会はぜひ米国政府に米軍慰安婦に謝罪するよう働き掛けるべきである。そして朝日新聞もせめて誤報の責任をとって、「女性の人権」という視点から韓国政府に対する人権擁護キャンペーンを張ってほしい。
今回の世紀の誤報事件は朝日新聞にとって地獄への一里塚になるだろう。朝日新聞の将来がどうなるかを見届けるために、これからも購読を続けるつもりだ。
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