2013年6月9日日曜日
憲法改定に断固反対する
憲法の改正に断固反対する。とりわけ憲法96条の改正は百害あって一利なしだ。今、日本と中韓は思想戦の真っ最中である。中韓は閣僚の靖国参拝や橋本発言をとらえて、日本が戦後の民主主義の価値観を守らず戦前の軍国主義の価値観に戻ろうとしていると非難している。そのような時に、憲法改正の動きを見せれば、中韓に塩を送るようなものだ。知日派を除けばアメリカ人の多くも決して日本には味方しない。憲法を改正しなくても、集団的自衛権は政府解釈を変更すれば済むことだ。自衛隊の名前を国防軍に変えたところで自衛隊が急に強くなるわけではない。憲法改正は対米自主独立、自主防衛を夢見る一部の人々の自己満足に過ぎない。
知日派のジョンズ・ホプキンズ大学ケント・カルダー教授が2008年の『日米同盟の静かなる危機』で、ワシントンだけでなくアメリカ全体で日本の存在が希薄なっていることに警鐘を鳴らしていた。それから、すでに5年がたっている。ワシントンでは今や日本の姿は4月の桜祭りでしか見られない。安倍首相の訪米は地元のニュースにもならなかった。ましてや、ゴールデン・ウィークを利用して訪米した閣僚や議員のニュースは地元新聞でさえほとんど載らない。NHKやネットのニュースを見たり、日本の新聞を読んで彼らの訪米を知ることがほとんどだ。
その一方で中国や韓国の存在感は驚くほどだ。中国系、韓国系アメリカ人はもとより在米中国、韓国人は日系アメリカ人や在米日本人の数をはるかに凌駕している。中国人の人口の多さを物語るように、ワシントンでは中国の新聞販売機を街角のあちこちで見かける。アメリカのメディアの関心も中国や韓国に移りつつある。韓国の朴大統領の訪米やインタビューはCBSが全米放送した。だから中国や韓国が取り上げる反日ニュースは、アメリカでも即座にニュースになる。特にワシントン・ポストは昨秋以後、とりわけ安倍政権誕生以降、慰安婦問題や歴史認識で日本の右傾化を記事にしている。アメリカ・メディアが手ぐすね引いて待ち構えているところに、「飛んで火にいる夏の虫」になった橋本徹大阪市長が飛び込んでいった。まさに橋本炎上だ。
ためしにamzon usでcomfort women japanで検索を掛けてみてほしい。196件も出てくる。もっと絞り込んで comfort women sexual slavery in the japanese military during world war ii で検索を掛けてみても23件も出てくる。どれほど、慰安婦問題がアメリカで注目されてきたかがわかるだろう。いくら慰安婦の証拠はないと言っても、アメリカも日本やベトナムに慰安所を作ったではないかと言っても、アメリカ人には決して伝わらない。キリスト教文化圏の彼らには、落語の「明烏」や「品川心中」に描かれたような遊郭の文化はない。あるのは韓国や日本でもそうした文化を否定してきたキリスト教の人権概念だけだ。反論すればするほどかえって韓国や中国の反日宣伝に利用される。
ことは慰安婦問題だけではない。憲法改正を言えば歴史認識も疑われてしまう。安倍首相が侵略の定義はないと言っただけでも右傾化の証拠にされてしまう。こんな時に憲法改正を持ち出そうものなら、日米同盟に致命傷を与えかねない。日米同盟は「トモダチ作戦」で万全になったわけではない。それどころか、「トモダチ作戦」くらいしか日米同盟を結びつける理由がないと考えた方が良い。同盟は軍隊同士の結びつきだけで維持されているわけではない。もっと重要なのは日米両国が価値観を共有することである。そもそも日米同盟はイデオロギー同盟だった。小泉政権時代にはブッシュと自由民主主義の価値観を共有し同盟関係は安定していた。しかし、反米左派的民族主義の傾向が強かった鳩山政権はアメリカとの間で価値観に齟齬が生じ、対中戦略、対朝鮮半島戦略の土台である日米同盟に亀裂が入った。安倍政権は土台に入った亀裂をふさがなければならない。その安倍政権が憲法改正等反米右派的民族主義政策をとってどうするのだ。アメリカでは反米右派的民族主義を軍国主義という。それには、アメリカに日本が右傾化したと思われないよう、また中国や韓国に決して反日の口実を与えないよう、親米派安倍政権には慎重な政策運営が必要である。今憲法改正を提案する等、下策の下策である。
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