2011年3月7日月曜日

中国でジャスミン革命は起きない

中国の上海を経由して雲南省泰族自治区シーサンパンナ州景江市の村で硝石の調査を行った。硝石の製造法は予想通り種子島と同様の牧畜法で、やはり稲作地帯では家禽や牛馬の糞尿を利用した方法、つまり堆肥と同じ製法であることが確認できた。実際、硝石を取る土は、優れた肥料として、特に野菜の栽培には適しているという。
 ところで、日本では中国のジャスミン革命の可能性が報道されているが、体感的には民主化よりも金儲け、豊かさの追求が優先されているようだ。中国では、ジャスミン革命は当分起きない。日本の報道は中国で何かが起きてほしいといった、感情に左右された報道姿勢ではないか。国民もそれを期待している風だ。
上海は東京、ニューヨーク以上のにぎわいだと思う。地下鉄、バスなど公共交通機関も充実している。10年以上も前に来た時とは雲泥の差だ。何よりも驚いたのは、メーター制のタクシーがきちんと運行されていることだ。初乗り12元(昆明では8.5元)で、虹橋空港からバンドまで約10キロが60元だ。領収書もキチンと出す。どう考えても安すぎる。地元の人に訊くと、政府の補助が出ているとのことだ。とにかく、町が奇麗になったことには驚いた。道路もキチンと清掃されている。ただし自動車が多すぎるせいか、スモッグで待ち全体が薄曇りだ。
上海政府は自動車を規制するために様々な手を打っている。上海のナンバー・プレートの登録に40万元必要だという。また上海以外の車には、上海での通行に規制がかけられているということだ。昆明でも景江でも自動車の数は多い。昔のように自転車やオートバイが走りまわっているという風景は景江でも見られない。中国のモータリゼーションは今後もますます進むだろう。はたして中国のモータリゼーションを支えるだけの資源、鉄や石油があるのか、大いに疑問に思わせるほどのモータリゼーションの勢いだ。
中国経済の実感は、1元が20円という感じだ。おそらくGDPは日本の1.3~1.5倍くらいではないか。個人のGDPも、言われているよりももっと高いと思われる。景洪市には中国人観光客が押し寄せている。昆明から景洪までの飛行機も1時間おきに早朝から深夜まで運行されている。増加する乗客に対応するために、景洪も昆明も新たに飛行場を作る予定だという。特に昆明の飛行場は数年前に作ったばかりなのに、別のところに改めて作り直すという。
また中国経済が成長している証拠がある。それは、私が調査に行ったタイ族のおじいさんの孫娘夫婦が自宅を改造して観光客のためのレストランを作っている最中だったことだ。人口が数百人(おそらく)にも満たない村にはすでに何軒かの旅行者向けレストランがある。それでもまだ需要があるほど観光客が増えている。ホテルの朝もとにかく中国人観光客が多かった。
中国の技術力も急速に進歩している。昔なら一目で粗悪品と思われる電気製品や日常品が氾濫していたが、今ではあまりみかけない。自動車、電気製品を含めて日本製品はほとんど見かけなかった。中国語で表記してあるからかもしれないが。驚いたのはトイレット・ペーパーが格段に良くなったことだ。また空港の便所もきれいだった。道路も街路も非常にきれいだった。上海万博のおかげなのか。まさに高度経済成長気の日本にそっくりだ。
というわけで、中国でジャスミン革命は起きない。